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バレンタインデー

· 七つの茨道
柄にもない事をすれば、心が浮き足立つとはわかってた筈なのに
その誘惑に負け、今からあられもない醜態を晒そうとしているのだ。

別段、何がどうしたと言う訳でもなくてただ、透哉にチョコを作った。
…だけなのだが、どうにも気恥しく、体が熱い。
最初は気軽に渡せる市販の物を選んでいたのだが、
途中から手作りの方が喜ぶんじゃなかろうかと想像し、チョコをどろどろと溶かし始めたのだ。

家に帰って来て、お風呂も上がり、後は寝るだけとなった今になってやっと
冷蔵庫からチョコレートを取り出した。
「と、透哉ってさ… 甘いもん、嫌いじゃない…よね?」
すぐに、嫌いじゃないよと肯定の言葉が返って来る。
「チョコレート、手作り… したから… あげる」
あげる前にはちゃんとシュミレーション出来てたのに
いざ本人を目の前にすると緊張して上手く伝えられない。
もっと上手い言い方、考えてた筈なのに。
「庵が!? わっ…、どうしよう 俺、勿体なくて食べられないよ」
「食べてよ 透哉に食べて欲しいから作ったんだよ」
しかも喜んで欲しいという下心付きで。
「…少しずつ食べよう。」
微笑みながら愛おしげに頬を触る。
「庵の方が真っ赤な顔してる。 珍しいね」
透哉の体に体を埋め、「好きを形にするの、恥ずかしいな」
この熱も、形となって透哉に伝わるのかな。

「受け取るのも恥ずかしいけど、やっぱり庵から貰えるのは、嬉しいな」
全てを預けて、溢れるこの愛だけをあげていたい
「…透哉のこと、好きだなぁ …好き」
愛の液体に浸され、溺れさせられ、口からは愛しか吐けない

「一口、俺からやるよ」
チョコレートをパキッと折り、口に咥える。
今度は透哉の方が赤い頬で目を瞑り、口を小さく開ける。
もっと、好きになっていいのだと、
教えてくれた透哉に感謝のキスを何度もする。

 

体が蕩けるくらいの甘いキスを

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